チュートリアル      2021.03.19

脱・モーション初心者!つまずきがちな基礎項目【胴体編①】

キャラクター動かしてみたけど、これで合ってるのか心配…
プロの人って何に気を付けてモーション作ってるんだろう…
という方のために、モーション制作で押さえるべき基礎事項をおさらいしていくコーナーです。

登場人物

モモ

まだ駆け出しの入社2年目。謙虚に学ぶ姿勢を忘れない。特技はアクション。

FOX

モモのお供。もともと彼も若き3DCGアニメーターであったが、
臆病な自尊心と尊大な羞恥心をこじらせてこんな姿になった。今もプライドだけは一丁前。

仙人

モモの師匠。忍としてもモーションデザイナーとしても超一流の存在。
徳川慶喜を生で見たことがある。


今回からは体の各パーツごとに気を付けるべきポイントを見てゆこう。
まずは五臓六腑が宿る人体の要、胴体のはなしじゃ。

よろしくおねがいします!

おや、今日はFOXがおらんの。
どうした?寝坊か?

そうみたいです…。
さっき起きて、おなかすいたっていうから
昨日のやきとりの余り食べさせてます。

あやつのマイペースは今に始まったことではないからのう…。
そのうちふらっと来るじゃろうから、先に説明を始めようかの。

(うるさいのがいなくて楽ですけどね…)
すみません、始めちゃって大丈夫です!


そのポーズ、バランス取れてる?

とりわけ新米がよくつまずくのは「重心」…。
人体としてバランスのおかしいポーズを作ってしまうというミスが起こりがちじゃ。

「こんな姿勢とれるか?」
って仙人につっこまれて、自分で動いてみたら
「むりですね…」
ってなったの、いまも記憶に新しいです。。

あったの。
初歩的な例としては、屈むときの胴体のバランスじゃな。

屈むときは腰が後ろにひっこむ…
わたしたちが無意識にやってることだけれど、
そういう基本からモーションに取り込まないと
説得力でないですもんね。

うむ。図説をみてもよくわからぬ場合は、
試しに壁にぴったり背をつけた状態から、
しゃがんだりお辞儀をしてみるとよい。
腰をひっこめられぬから
バランスがうまくとれず前に倒れてしまうはずじゃ。

特にモーションっていろんな角度から見られるから、
不安定なポーズになってないか全方向からチェックしないといけないですね!

ハァハァ…すいません遅れました!
急いだんすけど…ハァハァ…。

わあ、白々しい。
いまは、重心の話してたとこだよ。

ほぇ。

遅れた者のために同じ説明をするのも手間じゃから
ひとまずこのページを読んでもらえればよいかの。
重心やバランスについてより詳しく書かれておる。

ありがたい。
ふむふむ…

うわ、これ理科系の専門用語めっちゃ出てくるやつじゃん。
あ~~無理っす、もうちょいこう…
ふわっと、ザクっとした説明でいいすわ。

なんてふわっとザクっとした要求…
遅れてきた分際で…

う~む…。

…わかった、ちょっと用意するものがあるから少し待っておれ。


なんだろう。


待たせたの。
では、作ったポーズが適切な重心バランスかどうか確かめる術を教えよう。

ゴクリ…

まず、足が一直線に並ぶ視点からポーズを見よ。
そして、足の位置からこのように串をぶっ刺すのじゃ。

やきとり!

俺の食い散らかしたゴミがここでリサイクルされるとは…
でも、なるほどな。うまく串が通りゃ安定ってわけね。

そういうことじゃ。
特に足を大きく開いたポーズ、腰を低く落としたポーズで
いまにも倒れそうな姿勢になっている…というミスが起こりやすい。

そんなときもこの串刺しチェックをおすすめしたい。

基底面と重心線のおはなし、
ザクっとわかりやすく解説してくださってありがとうございます!

アアアなんでまたそんなむつかしい用語に戻すのさ
やきとりでいいよもう


~腰~ アクションのパワーを生み出す源

いくらバランスを安定といっても、それは安定した位置から一切動くな、ということではない。
あたりまえじゃが、重心の位置がまったく動かなければ何のアクションもできんからな。
ゲームモーションでいう待機動作なども、
胴体が微妙に沈む/上がる…といった小さな重心移動を繰り返しているからこそ
呼吸しているように見えるのじゃ。

ま、あたりまえだな。

そんなことをふまえて君らに考えてみてほしいんじゃが、
人間が右足を出して、左足を出すと…

歩ける!
あたりまえたいそう!

そういうのいいからはよ説明進めてくれジーサン

サンシャイン池崎でしつこくひっぱったお方がよくもまあエラそうに

つまらぬ爺の話で悪かったのう。ほほ。
さて…右足を出す、左足を出すから人間はその場から移動できるわけじゃが、
さらにその奥の「あたりまえ」を突き詰めると
腰が動くから右足、左足を出すことができる、というところに行きつく。

つまり、その場から動くためのエネルギーの根幹は腰にあるということじゃ。
足は、その腰から生えている「枝」といえばよいかの。

歩く、走る、パンチ、キック…
アクションの基本動作ってだいたい腰の動きから始まりますね!

然り。
胸も腰と直に連結しておるわけじゃから、
腰のカーブが不自然だとそのまま全体の印象に悪影響が出てしまう。
腰の移動カーブを整えるとこれだけ変わる、という例を試しに用意してみたぞ。

普通の右ストレートパンチの例。

うわ、腰の移動いじるだけで全然違うな。
リアリティっつうのか?なんかこう、マジで殴ってる感。

踏み込んだ足のほうにいったん体重を乗せたり、
体の伸び縮みにあわせて沈み込みとか、跳ね上がりがあると
ちゃんと腰が入ったパンチに見えますね!

モモの言う通りじゃな。
ちなみにさっきの例は、
パンチを繰り出すまでの腰の上下幅をちょっと誇張しておる。
ヒット感を出すためのゲーム的な調整じゃが、この表現は重い攻撃ほど効果的じゃぞ。

ああそうじゃ、メインの攻撃だけでなく戻りの体重移動も忘れずにの。
うっかり気を抜いて、キーを全く打たずに補間でぬる~っと戻してしまうケースは実によくある。

待機に戻るまでが遠足です、っつってね。
どうすかジーサン?

そういえば
さっきモモがちらっと「体の伸び縮み」と云うてくれたが
次回の話はそこに焦点を当ててみようか。
併せて胸の動きについても少し解説しようぞ。

よろしくお願いします!

どうすかジーサン?

なにが?

さっきの

あたりまえ体操?

やっぱなんもないす

AUTHOR

Yu