日々ネタ      2019.10.16 ( 最終更新日:2019/10/24 )

3DCGに適したマウスを探す2019

今宵、技術の粋を集めたマウスたちが集う!

2013年に書いた「3DCGに適したマウス」の記事から早6年。マウスはどれだけ進化したであろうか。

3DCGツールを扱うものはマウスの操作に多くの時間を使う。名のある料理人であれば、名刀と呼ばれる包丁をもつように、3DCGデザイナーもまた、名刀と呼ばれるマウスを使うべきである。

では、3DCGデザイナーにとっての名刀とは何を指すのか。20年3DCGソフトを使い続けてきた私の経験をまじえて、次の要素について所感を述べる。

  • ホイールのクリック感

    3DCGツールはミドルボタンを多用する。左右のボタンと同じような感覚でクリックできればそれがベストだが、ミドルボタンがホイールに置き換えられた現代社会では、この要件を満たすマウスはそう見つかるものではない。ホイールの構造上、どうしても硬めに作られるのだ。

  • ホイールのスクロール感

    スクロールが重い、コロコロタイプは避けたい。3DCGツールには、スクロールで選択したり、数値入力に使われることがあるのでカチカチタイプが良い。チルト機能は誤作動が多くなるのでおすすめできない。

  • 各ボタンのクリック感と音

    連打が可能なタイプがよい。ボタンの戻りの速度のことだが、反発力、ストローク、切込みの場所によって、実際のクリック感はいかようにも変わる。好みによる部分ではあるが、大量にクリックするので。クリック音が大きいのは煩わしさを感じる。会社で使うとなると周りも気を使う必要があろう。

  • 手のフィット感

    手に馴染むかどうか。手の大きい人は大きめのマウスだし、小さめの人は小さめが良い。かぶせ持ち、つまみ持ちなどの持ち方によっても好みが分かれる。フィットしないものを使い続けると腱鞘炎になる。右利き、左利きでも違うだろうし、これこそ好みの問題が大きい。

  • 精度

    同じ動きで同じところにカーソルが行く、その安定感がツール操作のスピードやテンポをよくする。
    意識することは難しいが、直感で反応速度の誤差を感じることができる人は精度の高いものが必要になる。信頼できるマウスは精度が高い。

  • ボタン数

    マウスショートカッッターにはボタンが多いほうが好まれる。しかし、玄人でない限りおすすめできない。マウスの選択肢を大きく狭めるし、重量も増える。それよりも守るべきものがあろう。ボタン数にこだわるのはマウスを極めてからでいい。

これらを考慮すると、3DCGに適したマウス=ゲーミングマウス と考えることができよう。

この記事では、私個人が使用した4つのゲーミングマウスのレビューと比較を行っていく。ネットだけの評判を紹介するなんて無意味なことはしない。「実際にッ! 3DCG制作で使ってきた! マウスだッ!」
無論、この4つの中からおすすめのマウスについて断言させてもうつもりだ。3DCGを始めたばかりの人で、普通のマウスを使っている人があれば、ぜひ参考にしてもらいたい。今のうちに良い道具を揃えておくことで成長速度に大きな違いが出てくるからだ。

ノミネートマウス

  • Classic IntelliMouse
  • ロジクールG403
  • ロジクールG603
  • ロジクールG703

Classic IntelliMouse

現在の弊社では、ドスパラPC付属マウスか、こちらの「classic intelliMouse 」が支給されるようになっている。つまり、弊社が現時点で「3DCGに適したマウス」としているのは、このマウスなのだ。勝敗は始まる前から決まっていた。玄人の皆様には今更説明するまでもないが、若い世代のために説明しよう。「Classic IntelliMouse 」は、かの「IntelliMouse Explorer 3.0」(略称IE3.0)の復刻版なのじゃ!2018年に見事7年ぶりの復刻を遂げたこの伝説のマウス(伝説のマウスで検索)によって当社は倒産の危機を免れたと言っても過言ではない。その使い心地たるや饒舌に尽くし難く、「至高」の2文字のみでしか語ることができない。幾多のモーションをこの世に生み出したことによって当社では「モーションオブマウス」というよく意味のわからない称号を得ている。残念ながらセンサーの精度においては昨今の強靭なProゲーマー達を満足させるには至らなかったようで、2019年7月、センサーを強化した「Pro IntelliMouse」の登場によってほぼすべての問題は解決したかに見えた。残念ながら未解決の弱点が2点ある。「選択肢が有線版しかない」「親指の滑り止めのゴム部分が長く使っていると削れて凹む」ことだ。無線版の登場はさておき、ゴム部分については多くのマウスに見られる問題。現状はすべり止シールの「鉄壁」を貼って予防するしかない。classicの市場価格は3,300円。proは6,500円。 コスパの高さでも他の追随を許さない。個人的には必要以上のセンサーを求めていないので、モーション作りにはclassicで十分だろう。じゃあこれを買おう!と思ったそこのあなた、ちょっとまってほしい、話は最後まで聞いてね。

ロジクール G403

2016年9月、IE3.0難民を救うため、あのロジクールがついに立ち上がった。ロジクール初のIE3.0クローンことG403の登場である。このG403を筆頭にロジクールはGシリーズのマウスデザインを一新し始める。IE3.0の代用品を求めさまよっていた当社でも試しに2つ購入し、IE3.0信者である従業員にも使ってもらっているが、なかなかの好評を得ている。G403はGシリーズのマウスにおいて、廉価版に位置づけられる型番を振られてはいるが、完成度においては上位に位置するものと感じる。このマウスはさらに3つのモデルが存在する。それぞれに英語の小洒落た二つ名が追加されるが、意味がわからんので日本語で語ろう。「有線版」、「有線無線切り替え自在版」、「高精度版」である。弊社では「有線版」と「有線無線切り替え自在版」の2つを使用している。しかし残念なことに「有線無線切り替え自在版」の使用者が、あろうことか有線として使い続けているので無線の感度については語ることはできない。この事実をもってモーションデザイナーに無線マウスは不要であることが証明された。道具は人を選べないが人は道具を選べるのである。「有線も無線も」という煮え切らないものの末路は生産終了であった。2018年も終わろうとするころ「有線無線切り替え自在版」は市場からひっそりと姿を消したのである。さて、有線版の個人的な感想は、大方において大変好印象である。見事にIE3.0を再現していると言いたいが、一点だけ・・ホイールクリックが硬いのが引っかかる(文字通り)市場価格も購入時は5,500円、現在は8,000円はするので、「classic intelliMouse 」が登場した今、コスパは抜群に悪く、こちらを購入する意味は皆無だ。買うな。

ロジクール G603

ワイヤレスマウス自体は2001年から存在していたが、その高価な価格と技術的な不足、そして必要性により、有線に取って代わるものとはなりえなかった。しかし技術は進歩し、好みによってワイヤレスの選択もあり得る時代になった。当社の従業員は興味を示さなかったが、私は大変興味があるのである。だってデスクの上がケーブルだらけなうえに、書類仕事も多いんだもの。そんな私と同士なあなたにベストマッチなマウスが登場しました。それがこのG603です。市場価格は6,400円。完成度の高いIE3.0クローン。最新のワイヤレス技術 LIGHTSPEEDにより遅延を感じることは皆無。答えは決まった。ワイヤレスならG603、有線ならClassic IntelliMouseだ。本体の電源は単3乾電池2本だが、1本でも十分動く。軽量化のため1本で運用するのがよいだろう。Classic IntelliMouseの重量が100g、G603電池1本は113g 若干重くなるが、単4電池を単3に変換すればほとんど気にならない。なにより優れているのはその電池持ちの良さ。公式では電池2本の通常モードで18ヶ月もつという。一瞬目を疑うぶっちぎりの電池寿命である。じゃあ最初から電池1個でいいじゃん!と思ったけど、重量調整用やらバランス調整やらで2個あったほうがいいのかもね。ホイールのクリック感はIE3.0より固く、G403より柔らかい。クリック音は他のGシリーズと同じく若干大きめ。特にホイールを奥側に回した時の妙に安っぽいカリカリ音が気になる。それ以外はIE3.0に比べ違和感はない。

ロジクール G703h

まさに帰ってきた「G403WL」 G403WLとは、ロジクールG403の項でちょっとディスった「有線無線切り替え自在版」の型番のこと。年末に消えていたと思ったら、G703に生まれ変わって帰ってきたよ。考えてもみればG403の無線版は出来が良すぎた。400番台ではあまりにももったいない。3階級特進ですよ。
さて、このマウス2019年6月にG703の10g軽量版であるG703hが登場しており、当社が購入したのはそちらのG703hのほう。新井薬師オフィスで鋭意使用中。現時点の評価はほぼ満足。G603の上位版なので当然だけど最終的に選ぶならG603を選ぶ。ではG603との違いはなんなのか。注目すべきは価格と充電式であること。こちらG703hの購入時の価格は1,1000円、発売したばかりで市場的にセールの履歴はなく、値下がりは期待できず、安くなったとしてもG603より高くつくのは間違いないだろう。それに見合った満足度を与えてくれるかといえばそうでもなく、充電式は一見するとスマートに思えるが充電持ちは悪く通常使用でせいぜい2週間くらい。その分こまめに充電する必要がある。ワイヤレス充電マウスパッドを使えば問題解決だが、マウスパッドのほうにケーブルができるのでデスクすっきり感が台無しに。またIE3.0と比較してクリック音が若干大きめ。それ以外は満足で、G603のホイールにあった妙に安っぽいカリカリ音もない。とはいえ、コスパを考えるとやはりG603に軍配があがる。G603に軽量版のG603hがでれば最強。

まとめ

思えばマウスとは長い付き合いだ。気がつけばいつも側にはマウスがいた。苦しいときも楽しいときも、いつも手と手をとりあい助け合ってきた。触れ合った時間は母親や恋人の比ではない。この世で一番愛すべき存在。それがマウスである。結論はすでに出た。2019年時点における「3DCGに適したマウス」・・・それは人それぞれ。・・・いいや、そんな言葉もうたくさんだ。誰も教えてくれないのなら私が教えてあげる。

Classic IntelliMouse」 よ! 間違いないわっ!

次点でG603を推す。完成度の点でClassic IntelliMouseにいま一歩及ばない。コストの面で見ても2倍ほど。有線無線を気にしないのであれば「Classic IntelliMouse」がどう考えても最強ではあるが、どうしてもワイヤレスがよいというのであれば、G603を選ぶしかない。他の有線マウスも「Classic IntelliMouse」に及ばない、かつ値段が高いのであれば、いっそワイヤレスが追加されるG603にしてしまえという発想です。 Classic IntelliMouse を基本にし、あとは、手の大きさ、持ち方、有線無線などによって、選択の幅を広げてみるとよいだろう。

番外編 ~弊社モーションデザイナーおすすめのマウス~

とはいえ、やはり人それぞれ好みは違うのだ。

Delux Vertical Mouse

ずっと使ってるとホイールの部分が滑りやすくなってきますが、バーティカルマウスはおすすめです。腱鞘炎気味だったんですが、手首の痛みがなくなりました。(吉本)

SteelSeries Rival 100

僕は手が小さいのですが、Rival 100は他のモデルより少し小さく軽く、使いやすいです。エントリーモデルなので専用ドライバでDPIを細かく設定できないです。(上坂)

DeathAdder Elite

DeathaAdderシリーズは大きくて軽めなので愛用してます。レインボーに光る機能だけで値段違うので注意。不満点は特にないですが、強いて言えば有線というところでしょうか。(管野)

ドスパラ GALLERIA レーザーマウス (旧)

ドスパラのPC GALLERIA を購入するとついてきます。ゲーミングマウスだけあって使いやすいです。特にこだわりが無ければこれでよいと思います。でも最近新型が出たらしく、もう入手することはできないようです。長年使っているとホイール部分がベトつくのが嫌(住岡)

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sumioka