脱・モーション初心者!つまずきがちな基礎項目【ポージング編】
キャラクター動かしてみたけど、これで合ってるのか心配…
プロの人って何に気を付けてモーション作ってるんだろう…
という方のために、モーション制作で押さえるべき基礎事項をおさらいしていくコーナーです。
登場人物
モモ
まだ駆け出しの入社2年目。謙虚に学ぶ姿勢を忘れない。特技はアクション。
FOX
モモのお供。もともと彼も若き3DCGアニメーターであったが、
臆病な自尊心と尊大な羞恥心をこじらせてこんな姿になった。今もプライドだけは一丁前。
仙人
モモの師匠。忍としてもモーションデザイナーとしても超一流の存在。
徳川慶喜を生で見たことがある。
…というわけで、初心者のころにつまずきがちな基礎項目を解説してゆくぞ。
よろしくおねがいします!
俺は基礎出来てるし別にどうでもいいんだけどな。
聞き耳ピンッピンですよあなた
できればFOXにこそ真剣に聞いてほしいんじゃがの。
まずはラフの段階で外してはならぬところを確認してゆくぞ。
ポーズの理由付け
そもそもアニメーションとは、数多のポーズが連なってできるものじゃ。
アニメーションは、ポーズの連続。ですね!
初めのころに口酸っぱく教えていただきました…。
うむ。
じゃからキーポーズの出来がまずいと、いくら動きを綺麗につないだとて、
見栄えのせぬ画が続くことになってしまうのじゃ。
そりゃ当然だ。
とりあえずかっこいいポーズを作っとけばいいんだろ。
「とりあえず」って…
もうちょっと考えて作ろうよ!
モモの言う通りじゃな。
説得力のあるポーズを作るには、まず作り手の意図や理由が明確でなければならぬ。
まあちょっと例を挙げて説明するかの。
(例)ハンマーで横殴り・予備動作のポーズ
ハンマーを横に振りぬく攻撃モーションを作るとしよう。
下の図は、その予備動作のポーズとして
良い例と悪い例を比較したものじゃ。
どちらが良いかは、ワシが言わずとも分かるな?
どうみても右のほうが良いポーズだな。
同じくです!今にも殴りかかってきそう…
さよう。
では、なぜ「良い」と感じたか説明できるか?
…。
右のポーズは、全身のラインがストレッチの形になっていて、
重たいハンマーをしっかりと体で支えられてますね!
腰とか胸も先行して前に出てるから、体からハンマーに
力を伝えようとしてるんだな~ってリアリティも感じます!
あと、左のポーズよりも胸を大きく後ろにひねってるのかな?
回転の勢いもついて強そうだし、正面からも
ハンマーのシルエットが見えてわかりやすいですね!
同じくです。
モモ、流石じゃな。
実は他にも、細かい部分でポーズに理由付けがされておる。
まとめるとこんな感じじゃ。
わあ、すごい!
仙人いつもこうやってコトバに書き出してるんですか?
否、さすがに言語化はしておらんが
こんなふうに頭の中で理屈をつけながら作っておる。
現実の動きには理由があるし、
デフォルメもまた、意図もなしに行うことなどできぬからな。
今回は予備動作のみに焦点を当てたが、正確には
前後のキーポーズのつながりもふまえながら、
どう変化をつけるか考えねばならんな。
たしかに…。
ブロッキングの段階から
動きの流れをちゃんと計画しないと
あとあと大変ですもんね。
受け手に「伝える」という視点
さて、今回は
意図や理由をポーズに組み込むことの大切さを
説いてきたわけじゃが、その目的は何か分かるか?
楽しんでもらうため…じゃねえかな。
モーションを見る人に、キャラクターの魅力を伝えるため
…でしょうか。
2人とも、良い答えじゃな。
作り手というのは、その作品やキャラクターの魅力を
受け手に伝えるために工夫を凝らすもの。
ゲームで言うなら、
キャラクターを見た/動かしたプレイヤーに
こう感じてほしいとか、こうやって楽しんでほしいという
メッセージを、モーションを通じて伝えるわけじゃな。
どうすれば伝わるのか、頭使って考えろってことか。
なんとなくで作ったものに説得力など宿らんからのう。
「かっこよさ」「美しさ」のような表現のセンスのみならず、
「わかりやすさ」という観点も、受け手へ的確に伝えるために不可欠じゃぞ。
そのキャラクターが何をしてるか、何をしそうか…
プレイヤーの視点で見てわかりやすいように
ポーズをデザインするってことですね!
然り。
ポーズを作ったら、いまいちど客観的な視点で見直すのがコツぞ。
逆に自分がゲームするときは、
良いモーションはどんな工夫がされておるのか
作り手の視点で観察するのも面白いかもしれんな。
なるほどー!
そのあたり意識してゲームしたら
良いポーズ、良いタイミングが学べそうです!
うむ。
別にゲームの腕前はモーションの実力とは比例しないんじゃが、
実際にゲームで遊ぶという行為はモーションのセンスを磨くヒントになる。
それにしてもジーサン、
ひとつのポーズにあれだけ理屈考えるのって
初心者には無理なんじゃねえか?
いや別に俺は本気出したらできるけど。
なにも一朝一夕で完璧なモノを作り上げられるわけはない。
人はたくさんのフィードバックを受けていく中で、
少しずつ答えを知り、その理由を理解し、モーションに落とし込めるようになってゆく。
初めはうまくできなくて当然のことよ。
じゃが、受け手に「伝わる」ように作ろうという意識は
基礎として持っておいてほしいとワシは思うのじゃ。
テクニックよりも考え方が先に立つってことですね。
ありがたいお言葉。
じゃあちょっとずつ本気出していきます。
この人今日エサ抜きでいいと思います
ま、ぺんぺん草ってところかの。
ポージングというより考え方の話が主になってしまったが、
いずれ人体のパーツごとに、ポージングの注意点を
洗い出してゆこうかと思うぞ。
その前に、タイミングやスペーシングの話もせにゃならんかな。
ありがとうございます!
引き続きよろしくおねがいします!