チュートリアル 2021.02.17

脱・モーション初心者！つまずきがちな基礎項目【スペーシング編】

キャラクター動かしてみたけど、これで合ってるのか心配…
プロの人って何に気を付けてモーション作ってるんだろう…
という方のために、モーション制作で押さえるべき基礎事項をおさらいしていくコーナーです。

登場人物

モモ

まだ駆け出しの入社2年目。謙虚に学ぶ姿勢を忘れない。特技はアクション。

FOX

モモのお供。もともと彼も若き3DCGアニメーターであったが、
臆病な自尊心と尊大な羞恥心をこじらせてこんな姿になった。今もプライドだけは一丁前。

仙人

モモの師匠。忍としてもモーションデザイナーとしても超一流の存在。
徳川慶喜を生で見たことがある。

そして、スペーシング…緩急の話じゃ。

タイミングが決まったとて、3DCGツールはあくまでその間隔を補間でつないでくれるのみ。
人の手でキーを打って動きにメリハリをつけねば、機械的なモーションになってしまうのう。

動きはきれいにつないだつもりなのに、
仙人に見てもらったら「動きがぬるい」って
一蹴されたの思い出します…。

ああ、それも重量武器のときだったかの。

そうです！
で、直されたのみてアッ全然違う～！って
感動したんですよね～。

確か…こんな感じじゃったかの。

いずれもタイミングは同じで、スペーシングが異なる。

うんうん…
Aは3DCGの補間に任せすぎちゃってずっと等速だけど、
Bは攻撃のメリハリと武器の重さを表現できてますね！

確かにAはぬるいな。
サンシャイン池崎が作ったボロ剣で叩いてるみたいだ。

うむ。
攻撃がヒットする瞬間にかけてもっとも振りの速度が速くなる、というのはもちろんのこと。

大剣ならばその重さゆえに、剣先を持ち上げるまでに相応のエネルギーと時間を要する。
そして剣先が天に向いてきたところで、慣性の力も借りて一気に加速。
勢いよく大地に大剣を叩きつけるわけじゃ。

ビミョー…	グッド

斬りつけるスピードがほぼ等速で勢いがない	スピードの緩急をつける徐々に加速していき、振り下ろしで最高速度

このように、振りかぶるポーズを「タメ」て、
振り下ろす動きを「ツメ」る、というのをしっかり表現できれば、
見る人に重さと勢いを伝えることができるぞ。

メリハリの度合いも状況によってさまざまですよね～。
例えばふつうの斬りつけ攻撃を作るとして、
斬り終わりに剣先のしなりをどれくらい入れるか…とか。

目指すテイストがデフォルメ寄りなのかリアル寄りなのかで
スペーシングも変わってくるじゃろうな。

ほとんどビタ止めに近い極端なメリハリは
当然動きが固くなってしまうが、ポーズがはっきり残るぶん
2Dアニメーションに近い見え方になるじゃろう。
強いデフォルメの効いたスペーシングといってよい。

しかし特に意図がない限りは、ビタ止めせずに
斬り終わりに剣先の動きを少し流して、自然な減速になるようにスペーシングを整えよう。
剣跡でアーク（曲線）を描くように意識すれば、滑らかなモーションに近づくことができるぞ。

わたしは特にデフォルメの意図もないのに
動きが急停止・急加速する固いモーションをよく量産してました…

物理法則にのっとった自然な動きをバッチリ作れるようになれば、初心者脱出かの。

デフォルメ表現だけを表面的に真似ていても、基礎は作れぬ。
基礎が身に付いていれば、たとえば
スペーシングの極端な誇張（画飛ばし）や、わざと動きのブレを作る…
といった「ハズし」の選択肢を
状況に応じて使い分けることが可能になるぞ。
発展的なスキルゆえ、ここでは説明を割愛するが…。

サンシャイン池崎と同じだな。
あんな芸風だけど実は人間的な土台がしっかりしてる。

あ、そうだ…、また話戻しちゃいますけど
仙人に「ぬるい」って言われたあと
ばっちり動きのメリハリ直してから出したら、今度は
「人体のポーズが破綻しておる」
って突き返されたんですよね…。
あのときはほんと、気づけない自分が情けなくって…ウッ…

ほほ。誰もが通る道じゃ。

剣のスペーシングが良くても体のポーズがちぐはぐだったり
腕が伸びきっていたりきゅうくつな姿勢になったり…

人体と剣、総合的に見て違和感のないポーズをつなげていかねばならんのじゃが、
慣れぬうちは必ずといっていいほどつまずく部分じゃな。

でっかい剣持ってる系モーションあるあるじゃん。

でっかい剣に限った話ではないが、初心者のスペーシングあるあるでいうと
頭の動きがガタつきがち、というのもあるのう。